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2023.06.26 発達障がいとは

発達障がいとは? ~発達障がいの定義・原因・種類・症状・相談窓口まとめ

発達書害の種類と特徴まとめ


「発達障がい」という言葉はメディアでも取り上げられ、一般に知られるようになりました。

全国の公立小・中学校の児童生徒を対象にした調査によれば、「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒」の割合は8.8%で、1クラスを40人とすると、うち3~4人は特別な配慮や支援が必要なことがあきらかになっています。

こんなに身近な存在になった発達障がいには、いろいろな種類や特徴があることをご存じでしょうか。
法律に記載されている発達障がいの定義や、発達障がいの原因、種類、症状、そして相談窓口についてご説明します。

発達障がいとは?

発達障がいとは、脳機能の発達が関係する障がいです。
自閉症スペクトラム障がい、注意欠如・多動症、発達性学習症など、その症状はさまざまです。
他人との関係づくりやコミュニケーションが苦手な場合もありますが、優れた能力が発揮されている場合もあります。

年齢や環境に応じて目立つ症状は変動するため、発達障がいか否かを白と黒で分けることが難しく、広大なグレーゾーンがある障がいとも言われています。

発達障がいの定義

近年、発達障がいに注目が集まった理由には2005年に施行された「発達障がい者支援法」という法律が関係しています。

それまでは知的障がいを伴う発達障がい者への支援は行われていましたが、この法律によって知的な障がいを伴わない発達障がいへの支援が定められました。
発達障がい者支援法における「発達障がい」の定義は以下の通りです。

第一章 総則 (定義)
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3 この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
4 この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。

つまり、発達障がい児・者とは幼いときから現れる脳機能の障がいや特性によって、日常生活に困難を抱えている人のことをさします。

発達障がいの原因

均一化社会の中で居心地の悪いデコボコ君

発達障がいの原因は詳しくわかっていないことが多くあります。

今のところ、先天的な発達の特性については、遺伝的な要因が影響している脳の器質的、機能的な障がいによるものではないかと考えられています。

発達障がいの発現メカニズムや医学的対処法の研究が国内外で進んでおり、治療薬の開発も進んでいますが、発達障がいの原因は十分には解明されていません。

発達障がい児の臨床医として全国的に有名な杉山登志郎医師(あいち小児保健医療総合センター)の著書『発達障がいのいま』によれば、狭い意味での発達障がいとは「発達凸凹(デコボコ)に適応障がいが加算されたグループ」を指し、発達凸凹とは「認知に高い峰と低い谷の両者をもつ子どもと大人である」と書かれています。

このことを式で表すならば次のようになります。

発達凸凹+適応障がい=発達障がい

環境要因によって引き起こる適応障がいの要素も加わるため、発達障がいの発現を防ぐことや、医療によって完全に治すことは困難といわれています。

発達障がいは誤解をされやすい

テヘペロの顔
発達障がいの子って発達する能力が欠けているから、ずっと赤ちゃんのまま成長しないのよね?
テヘペロの顔
発達障がいは個性なんだから支援や配慮をしないで、ノビノビと自然のままが一番!そのうち何とかなる!
それは、発達障がいのことを知らない故の誤解です

人間は、時代背景、その国の文化、社会状況、家庭環境、教育など、自分の取り巻く環境に影響を受けながら一生かけて発達していきます。
発達障がいのある人も同様に年齢とともに成長していく部分もあり、成長や変化がない障がいとは断定できません。
「障がいだから治らない」という先入観は成長の可能性を狭めてしまいます。

また、発達障がいはひとつの個性だから配慮は必要がないと考えるのも行き過ぎです。
成人になった発達障がい者から「小さいころから配慮が受けられず困難な環境の中で苦労して成長した」という話も多く耳にします。

誰にでも発達の仕方には生まれつき凸凹がありますが、凸凹によって生活に困難を抱えている状態を発達障がいといいます。
周囲が理解してサポートすることで環境になじんでいくことができます。

では、発達障がいとはどんな障がいなのか、その種類と特徴を見ていきましょう。

発達障がいの種類と症状

発達障がいはいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障がい(ADHD)、学習障がい、チック障がいなどさまざまなものがあります。
複数のタイプの発達障がいを抱えていることもあり、個人差が大きいことも特徴です。

自閉症スペクトラム障がい(ASD)

自閉症スペクトラム障がい(Autism Spectrum Disorder 通称:ASD)とは、自閉症性障がい(自閉症)・アスペルガー症候群・特定不能の広汎性発達障がいなど、自閉症の特性を重度から軽度まで示す一群をさします。
自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特性としては、「コミュニケーションの障がい」「対人関係・社会性の障がい」「パターン化した行動、こだわり」という3つの特性があります。

自閉症性障がい(自閉症)

自閉症はは広い意味での「自閉症スペクトラム(ASD)」に含まれる一つのタイプです。
「コミュニケーションの障がい」「対人関係・社会性の障がい」「パターン化した行動、こだわり」に加えて「言葉の発達の遅れ」などの特徴をもつ障がいです。

アスペルガー症候群(AS)

アスペルガー症候群(Asperger Syndrome 通称:AS)は広い意味での「自閉症スペクトラム(ASD)」に含まれるひとつのタイプです。
自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障がいがあることがわかりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。

注意欠如・多動症

注意欠如・多動症(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder:通称ADHD)のある人には2つの特性があります。
両方の特性を併せ持つ人もいれば、どちらかの特性が強い人もいます。

不注意優勢型

忘れ物が多い、注意を持続させることが困難、整理整頓が困難など。

多動性ー衝動性優勢型

じっとしていることが難しく、刺激に対して衝動的に行動をする。

混合型

上記の2つの特性が重なっている。

■もっと詳しく知りたい人はこちら↓↓
ADHD(注意欠陥・多動性障がい)の子を理解して育てる~症状・特徴・療育・相談機関について

発達性学習症

発達性学習症とは、全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を要する学習が難しい状態をさします。

読字不和

・ひらがなの音読が遅く、読み間違える
・読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい
・文章を読むのがたどたどしく、文章の内容(あらすじ)をつかんだりまとめたりすることが難しい

書字表出の不全

・バランスのとれた文字を書くことが難しい
・文章を書く時に助詞などをうまく使いこなせない
・板書など書き写しの速度が極端に遅い
・考えた内容を書いて表現することが難しい

算数不全

・数の概念が身につかず、数系列の規則性などの習得が難しい
・計算を習得することが難しい
・文章題を解くのが難しい

特定不能の学習障がい

発達障がいの症状には、診断の段階で当てはまる部分があるにもかかわらず、病名をつけるまでの診断基準には満たない場合や、十分な情報がなかったり、矛盾する所見があるためにはっきりとした診断ができなかったものに用いられます。

知的障がいとの関係

知的障がい(Intellectual Disabilities)とは、全般的な知的発達の遅れがあるため、文字を通して学んだ知識を生活に応用することや概念の理解をすることが難しい障がいです。
発達障がいには、知的障がいを合併している場合とそうでない場合があります。
知能指数(IQ)などで測定される知的障がいに対し、発達障がいはコミュニケーション能力や適応能力で診断されます。

発達障がいグレーゾーンってなに?

発達障がいの特性が見られるものの、診断基準には満たない状態。

発達障がいは明確に「ここからが発達障がいだ」と境界線を引くことができない障がいです。
広大なグレーゾーンがあり、障がいと健常の間はグラデーションでつながっています。
また、いくつかの障がい特性を併せ持っている場合もあります。

したがって、障がい名と向き合うのではなくその人と向き合い、その人の特性を知ることで「何に困難を抱えている人なのか?」「どうすれば解決できるのか」を知ることができます。

発達障がいかも?と思ったら

みんなちがってみんないい
「もしかして、うちの子って発達障がいかも?」と思ったら、発達障がいのお子さんの教育・福祉・放課後等デイサービスに関する情報サイト『発達障がい情報室』をご活用ください。

制度や福祉サービスまとめ

発達障がいのあるお子さんの育ちを支える制度や福祉サービスについて、情報をわかりやすくまとめています。

教育や学びに関するまとめ

お子さんの教育に関して役立つ情報をまとめています。
発達に凸凹のあるお子さんが、自分に合った教育や学びをみつけるためにお役立てください。

当事者や家族の書いた本・漫画・映画

障がいのある当事者や家族が書いた本・漫画には生きた知恵がたくさん詰まっています。
映画の中にも、良いものがたくさんあります。ぜひご覧になってください。

自閉の世界を旅する本 東田直樹さんの世界
健常と障がいの『はざまのコドモ』
コミュ障親子の奮闘記『生きづらいと思ったら親子で発達障がいでした』
発達障がいオススメ映画7本~笑えるものからシリアスなものまで!
《この記事の参考にさせてもらった資料》
・杉山登志郎(2011)『発達障がいのいま』講談社現代新書
・長谷川敦弥, 野口晃菜(2016)『発達障がいの子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。』株式会社SBクリエイティブ
発達障がい者支援法
発達障がい情報・支援センター「発達障がいを理解する」
政府広報オンライン「発達障がいって、なんだろう?」
文部科学省「特別支援教育について」
文部科学「平成24年通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」

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